May 01, 2008

読書:中央銀行の独立性と金融政策

中央銀行の独立性と金融政策

内容:
中央銀行総裁(日本銀行総裁)による講演録18編。
年代は1998年から2003年なので少し古い。

背景知識:
学部上級程度のマクロ経済学、マクロ金融論。
金融政策論の応用・実際というイメージ。
マクロな経済全体の動きに興味があれば読めるが、いくらか古いのでその点に留意が必要。

感想:
繰り返しの内容が多く、すぐ飽きる。
立場上、きっちりと作ってあるので、広くポイントを抑えてあり、中央銀行の立場を概観するには最適。
「独立性と金融政策」と銘打ってあるが、内容は金融政策中心で、独立性に関しては触り程度。

印象に残った言葉:

God grant me the serenity to accept the things I cannot change, the courage to change the things I can; and the wisdom to know the difference.
神よ、変えることのできるものについてはそれを変えるだけの勇気を、変えることのできないものについてはそれを受け入れるだけの冷静さを、そしてこの両者を識別することのできる知恵を与え給え

神学者Reinhold Niebuhrの言葉。
速水優氏の座右の銘だそうで。
今の自分にぴったりでした。

中身から: (※は個人的なメモ)
□インフレの解釈
何度も強調されているが、中央銀行はインフレ容認もデフレ容認もしない。ただ、インフレにもデフレにも種類があり、その原因をしっかりと把握しないと金融政策の舵取りを間違うことになる、という話。
個人的には、インフレとデフレをちゃんとした議論も無く一方的に悪者扱いしているのはマスコミだと考えていて、この辺りには同感。私は「民衆の敵、経済の味方」がインフレだと考えていて、多少のインフレは容認派です。
※物価指数のバイアス
構造変化などによる物価の低下(コストの低下)を統計が取り込めているのか、またどのように現れているのか、というときに持ち出される。特に構造変化(構造調整)が大きいときには注意が必要。
※名目賃金の下方硬直性
名目賃金が低下しにくいことを指して言う。ただし、雇用形態の多様化によってマクロで名目賃金が低下している可能性は十分にあることが本の中では指摘されている。

□銀行セクターの機能不全
私の問題意識とも合うのだが、銀行スプレッド吸収しすぎ。
正確には、信用創造機能(要するに銀行による貸出)が低下しすぎ。
この本のP223に紹介されていたデータ。(1996~2001年、変化率年平均)
==================
マネタリーベースの伸び 7.3%
マネーサプライの伸び 3.3%

銀行貸出 - 1.4%
銀行国債保有 15.7%
==================
「マネタリーベースの伸び << マネーサプライの伸び」が意味するところは、端的に言って、銀行部門に供給される資金が増えているのに、銀行部門から先へ供給されている資金が増えていないということ。要するに、銀行が吸収している。
「銀行貸出は減、国債保有額は増」が意味するところは、銀行のポートフォリオが変化して、お金を貸さなくなっているということ。悪意を持って見れば、税金を大量に食って生きているんですこの人たち。善意を持って見れば、デフォルト(借金を返さない)が多すぎてお金を貸していられないのです。
ここ数年、銀行は採用を拡大だの何だのしていますが、背景にはこんな資金の流れがあったりするんです。
ただ失われた10年のせいで人材が不足しているのも事実のようだし、当時は実際に不良債権処理で手一杯で、かつ信用リスクに見合った金利で貸出ができないのも事実らしいのですが。

投稿者 sawamochi : 01:42 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

January 26, 2008

素晴らしきオプションの世界

久々ですが、自己満足のためのレポートうpシリーズ。
金融工学って面白いですよね。僕は好きです。
ぶっちゃけ証券のクオンツに興味がありました。

先日とある授業のレポートでオプションの価格決定理論について調べていましたところ、エキゾチック・オプションが出てまいりました。
エキゾチック・オプションとは、満期時の原資産価格(例えば企業Aの株価)が直接のオプションの行使対象でないオプションのことです。
例えばコンパウンド・オプションバリアー・オプションアジアン・オプションルックバック・オプションなどがあります。
これは種類が山のようにあるのですが、これらのオプションに対しても価格決定理論があります。
上に挙げたものは中でも単純かつモデルが基礎的なもので、これらをレポートで扱いました。

で、何が驚いたって、熱伝導方程式をついに出てきたこと!
デリバティブの理論で熱伝導方程式や波動方程式を使うのは知っていたが、それを実際にどう使って価格決定しているのかは分かりませんでした。
今回のレポートも、バリアー・オプションの価格を求める段になったら突然難しくなりました。
やっている内容はわかる。が、数学的な過程が分からん。何故その方法でないといけないのかも分からん。
つまり、理系にはかなわないということです。
だってこのような方々と渡り合わないといけないんですよね。そこまでの引き出しはないですわ。
クオンツに理系(かつほとんど院卒)しかいない理由も納得です。
ただ今回の参考文献、デリバティブの数学入門は非常によい本だと思いました。お勧めです。

投稿者 sawamochi : 04:24 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

November 21, 2007

素晴らしき利子平価条件の世界

最近の流行は、学校でのレポートをアップすることでしょうか。
いや、でも実際面白いんですよ。

以前、裁定取引の話D-dayの話でも書きましたが、世の中楽して儲けることが出来ないようになっているんですね。
複数の通貨間で裁定機会が存在しないのは、為替レートを引っ張り出していつでも検証できます。
今回は授業での指令通り、利子平価条件でやってみました。

利子平価条件を簡単に説明しますと、今日本で持っているお金をどこで運用しても、リターンには変化がないという理論にございます。
例えば100万円持っていたとして、それをアメリカドルに変えて利子率の高いアメリカで預金します。それを一年間預金して、一年後にまた日本円に戻します。そうして得たリターンと、そんな面倒なことをせずに、日本の銀行で預金して得たリターンが同じになるということですね。もちろん理論のお話なので、取引費用等はゼロです。
必要なのは、時点tでの為替レート、それぞれの国の利子率、将来の為替レートの4つです。
(この中で、将来の為替レートが曲者です。これを為替先物で代用した場合はカバー付き利子平価条件になり、将来の為替レートの予想値で代用した場合はカバーなし利子平価条件になります。)

今回のレポートでは、カバー付き利子平価条件を検証しています。
為替先物レート (フォワードレート) は直先スプレッドから計算しています。
各国の利子率の代理変数として、銀行間取引の利率を利用しています。
結果、サンプル182個の平均で裁定機会が0.07%、分散が0.00003という結果となりまして、ほとんど裁定機会はないという結論です。

欲しい方はこちらをどうぞ。

投稿者 sawamochi : 01:53 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

November 09, 2007

素晴らしきネイピア数の世界

風邪を引きました。
昨日夜遅くまでネイピア数の世界に浸っていたせいです。
自己満足のために、レポートをうpしようと思います。
はっきり言って穴だらけで、論理 (というか証明) がいくらか飛躍している部分や、厳密性にかける部分(実数まで拡張可能なのか、自然数だけなのかetc...) がありますが、4時間弱でゼロから仕上げたレポートですので、ご愛嬌。あと内容も実はこれで10分の1くらいしか説明できていませんが、レポートの様式が4枚~5枚ということでしたので、それ以上書くのは費用対効果の点でよろしくないと思いました。
数学アレルギーのない人であれば読めるはずです。

レポート

最近よく思うのですが、浪人して最もよかったことの一つに、数学アレルギーがなくなったことです。
決して好きではありませんが、やってみると毎回必ず興味を持つ分野です。
勉強するたびにクオンツにはとても入れないなと思うのですが、クオンツに入りたいなと思う今日この頃。机上の空論大好きです。
まぁ文系の学部卒を取っているなんて話聞いたこともありませんけどね。

そして昨日は改めて自分の原点を見た気分でした。
HEPSAという派遣留学生の会で、設立総会をやったのですが。
価値観とは、やはり昔からの経験を通して醸成されているもので、認識してはいても、それがぴたっとはまる瞬間は、やはり嬉しいものです。
がんばろーっと。

投稿者 sawamochi : 06:10 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

November 05, 2007

京都議定書の削減目標は達成可能か

日経新聞の一面に新技術に関する記事が出ていました。
内容は、高炉に新技術を導入すると、CO2排出量が30%削減できるというもの。
高炉といえば、鉄鋼を作る際にとても重要であり経済全体の基幹産業である一方、ガンガン火を焚くのでCO2排出量は大きいでしょう。
さて。この新技術がどれほどのインパクトを持つのかを検証してみました。

設定は以下の通り。
 ・今すぐに法律で「新しく高炉を建設する際には新技術を利用すること」と決められる
 ・減価償却を終えた古い高炉は速やかに新しい高炉へと改築される
 ・高炉が閉鎖になることはなく、経済成長率と同じ速度で高炉が増える

三番目の仮定が重要で、中国など成長著しい国では、一つ一つの排出を削減しても、全体としてはほとんど役にたたないといった場合を考慮に入れることが出来ます。
単純に考えれば、経済が2倍に成長すると (年7%の成長で約10年かかる)、排出量も2倍。
後述しますが、日本のここ16年間の弾力性は約0.25ですので、中国では少なくとも1.3倍と言ったところでしょうか。日本は経済全体に占める3次産業の割合が高いですし。すると30%削減しても100%を超えてしまう、という可能性が出てきます。

結果の例を挙げます。
例えば新技術で30%の削減が可能、経済の年成長率 (正確には排出量の成長率) は8%、減価償却にかかる時間が30年。
すると、25年後の排出量の増加は384% (約4.8倍)となり、全く減る気配がありません。
経済成長とCO2排出量増加の弾力性にも因りますが、弾力性が高いと上記 (弾力性は1) のような結果になり、京都議定書のような「****年の排出量から**%削減」というのは難しいことになります。
先進諸国では経済成長に占める3次産業の貢献度が高いはずなので、弾力性は低くなり、より実現可能性の高い目標である一方、3次産業は本質的に削減が難しいというジレンマを抱えています…。
またある部門での排出量の増減は、経済全体に対するインパクトがどれだけなのかを考慮する必要があります。例え削減に成功しても、他の部門で排出量が増加していれば全体としての減少は見込めません。

どちらにせよ、CO2排出量削減が温暖化防止に必要だとするならば、削減は急務だと言うことですね。特に成長著しい国でなんとか食い止めなくてはいけません。
ちなみに、先ほどテレビでは、2006年度の排出量が発表になり、削減目標となる1990年から6.4%排出量が増加していたという趣旨の内容が報道されていました (参考記事)。一方こちらのデータが正しいとしますと、年成長率が平均で1.3%なので、日本経済は16年間で約23%成長したことになります。つまり日本のここ16年間の経済成長に対する排出量弾力性は約0.25です。ご参考までに。

以下、エクセルの説明です。ご利用したい方はどうぞ。

エクセルファイルはこちら

・青い数字 ... 変更可能な数値。お好みに合わせて設定してください。
・factories ... 現在の工場数。結果には影響を与えませんが、数字を見やすくするためにご利用下さい。
・reduction ... 新技術によるCO2排出削減量
・depreciation ... 減価償却にかかる時間
・growth rate ... 経済成長率。経済成長率を低く見積もると、経済成長に対するCO2排出量増加の弾力性が低い状態と捉えることも出来ます。
・emission increase ... 排出量。
・n of factory increase ... 高炉の数。
・nominal reduction ... 新技術が導入されなかった場合と比較した削減率。当然ながら年を経るごとに数値が上昇し、最大値はreductionで設定した数字になります。

投稿者 sawamochi : 11:42 PM | コメント (15) | トラックバック (0)

October 29, 2007

就職活動

とりあえずぶつかってみることにしました。

就職活動を進めるごとに、就職活動を中断して自分のやりたいことをやるほうがいいんじゃないのか…。と悩んでいた訳ですが、一通り話をして話を聴いて、答えをとりあえず出しました。
とりあえず就職活動は完遂します。

何故かと言うと、捨てる勇気がないのだと思う。
選択には必ず捨てるものがついてくるのですが、その捨てるものに対する評価 (最も、現時点では手にしてすらいない訳ですが…) が高すぎるので、捨てる勇気が無いし、決心をする根拠に乏しいんではないかと思います。
ちょっと言い方を変えると、あることを選択することのコストと機会費用に対してびびっていると。

人生に一度の新卒。
やってみればいいじゃない。

こんな内容を人事の方にチェックされたらどうなるのであろうか…笑
私はいたって真剣に就職活動をしております。
頑張ります。

投稿者 sawamochi : 02:48 PM | コメント (2) | トラックバック (0)

October 19, 2007

素晴らしき消費者金融の世界


PARISien
Uploaded by prospective

パリだ~パリだよ~!

消費者金融の広告で
 イケメソ:「10万円借りたらどうやって返せばいいの?」
 お姉さん:「月々3000円からお支払いいただけます。」
 注意書き:「実質年率16%~18%」
と出ていたのですが。

消費者金融側から見ると、小額返済にさせたほうが、デフォルトは少なくなるだろうし、利子が増えるのでよいのではないかと考えたのです。それを気になって検証しようと思った…まではよかったのですが、そこから先が面倒だった…。消費者金融の利潤極大化問題を考えてみました。

結論から言うと、解けませんでした…。
あまり小額にしすぎると期間が長くなるせいで返済された額の現在割引価値が下がります。
要するに、返済額 xを小さくすると利子は増えるが期間が長いので現在価値が下がるということです。

消費者金融が実際にどうやって利子を計算しているかは存じ上げませんので、仮定を置いて、
 ・利用者は月末に支払い
 ・月初の貸付残高に月複利で利子をつける
 ・デフォルトは考えない
として話を進めます。

貸し出し金額を z
月々の返済額を x
返済にかかる月数を y
実質年率を i
割引率を r
とします。ここで、z, i, rを所与としたとき、x, yを決定して利潤を極大化します。

デフォルトを考慮する場合、実質年率 iは操作できないので、プレミアムをつけることは出来ませんが、月単位では月単利で徴収すると、デフォルトによるリスクが最小化されるはずです。詳細は図を参照。ちなみに図は概念図なので少し誇張してあります。
multi_rate.jpg
(赤の線が複利+月割りの複合、青の線が単純な複利、緑の破線が単利)

そこで消費者金融の方が解いているのは、以下の式のような利潤極大化問題になっていると思われます。
equation.jpg

僕は解けませんw
誰か解ける人いたら教えてください。

解けないので、出来る範囲で。
視点を借りる側に変更して、月々の返済額を決めたときに完済までどのくらいかかるのかを出してみました。
ここではデフォルトを考慮しないかつ非常に計算が面倒になるので、年18%とする単純な月複利で計算します。そうすると結果は以下のようになります。
◇10万円借りて毎月3,000円返済
 →完済まで46ヶ月、合計金額135,215円
◇10万円借りて毎月5,000円返済
 →24ヶ月、合計117,971円
◇20万円借りて毎月5,000円返済
 →59ヶ月、合計293,938円
◇20万円借りて毎月10,000円返済
 →24ヶ月、合計235,943円
でした。エクセルを作ったので、ご利用になりたい方はこちらをどうぞ。
実はいくつか突っ込みどころがあるのですが、考えるのが面倒なのと自分こんなことやってる場合じゃないなと思ったので止めました。

いずれにせよ、分割しすぎると返すのってかなり時間かかるんですね。
本当はこの他に手数料等取られるのではないでしょうか?
素晴らしき消費者金融の世界。

ご利用は計画的に!

投稿者 sawamochi : 08:02 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

September 13, 2007

どうでもいい現状をうp


Metal Brahms
Uploaded by lele54

なんて言うか、この音楽を聴いて思い出すのは懐かしの「チーズ」。

帰国の準備を少しずつ始めております。
これには儀式的な意味があって、要するに一年間の一風変わったモラトリアムを終えて帰国するのだと言う現実を実感に変えるための区切りとして行っております。
そして帰国後。これまた欝な日々が待っていると思われるわけですが。
その帰国後に待っているどうでもいい現状を晒します。

◇さわもち がそつぎょうするためにはあと 24 のたんいがひつようです。
まだ24単位も残っています。
単位互換は10単位申請しましたが、全くあてにしていません。
それでも、現在までで120単位取得済み。
母校に行ったのは1.9年分(一年生+二年生は完全週二日制+三年生の夏学期)で取得単位が120単位なのですよ。しかも別に遊んでたり引きこもってた訳ではない。
思えば二年生になってから、授業は毎日4コマ以上でした。
こんな変なことをやっている学生はそうそういないだろう。

◇がくしかてい をたおすためには そつぎょうろんぶん をかんせいさせなさい。 (村人Aの話)
学士過程っていう小ボスを倒すには卒業論文なるものが完成していなくてはいけないそうです。
テーマすら決まっていません。
 テーマ決定? → 掘り下げて調べる → 違う項目を発見 → これ面白そうじゃね?
というループに見事にはまっていて、絞り込めません。すごく大まかに言うと「金融」というのは決定しているけれども。

◇はたらいたら まけかな と おもっている。
NEETに最も近い男。それが漏れ。
前までは絞れていたと思っていた業界も、何だか最近では疑問符が付く始末。
面接対策?んなもん聞いたことも無い。
そんなんで2008年卒で内定がもらえない場合、学校に残るのか否か。

流れに流れていたインターンの最終発表会が唐突に明後日になりました。
1時間プレゼン+1時間質疑応答と言われていたのだけれど、今日のメールでは合計で一時間しか取ってなかった…。なんぞこれ?まぁいいやと。

蹴散らしてきます ノシ

投稿者 sawamochi : 04:01 AM | コメント (0) | トラックバック (0)