教育
OECDの学習到達度調査(PISA)の調査結果が出たらしいですね。
基本的に、教育に関して意見をとやかく言うつもりはありませんが、塾講師をやっていて感じることを。
結果では、日本の学生が「読解力」の分野で大きく後退、学校外での勉強時間も加盟国平均を下回っているらしい。
日本の生徒に特徴的なのは、読解力レベルが“二極分化”している傾向が見られることだ。調査では、テスト結果を六段階に分けているが、読解力では最も得点の高い「レベル5」となった生徒の率が9・7%と加盟国平均の8・3%を上回った一方で、最低ランクの「レベル1未満」の割合も7・4%と平均(6・7%)より多く、順位低下につながった。
これはものすごく感じる。
教育投資の差なのかもしれない。
教師のレベルに対応しているのかもしれない。
ただ、勉強に対して
○やる気が無い→学力上がらず
○やるけれど目的意識や目標はない→親の教育投資に対応して学力が決まる
という二分化は日々感じるところではある。
ここのポイントは『明確な目的意識や目標を持っている小中高生なんてほとんどいない』ということだと思う。
さらにこんな内容も。
■科学応用力2位読解力とは対照的に「身の回りの自然事象などを、科学的な知識を使って理解できるか」を測る「科学的応用力」は、全体で二位と、世界でもトップレベルを維持した。
ただ、テストの中で、「地球に昼と夜がある理由」の理解は低く、今年九月、国立天文台が「小学生の四割が天動説を信じている」との調査結果を発表したらしい。
なんていうか、これは教育以前の興味の問題だと思う。
地球が回っていると聞いて『本当に?』と興味を持てるか。
何故空が青いのか。
何故台風があるのか。
こんなことを疑問に思ったりしないのだろう。
もしくは思っても特に疑問の解消に向けてアクションを起こしたりはしないのだろう。
さらに
今回の調査では、日本の生徒が「学校外で勉強する時間」が週六・五時間と、各国平均より二時間以上短く、トップレベルの国に比べれば半分近いという低迷ぶりも明らかになった。
そうな。
へぇ、日本って意外と勉強してないんだ。
あとはこんな記事。
正論だけど、この人に絶対的に欠けている視点というのは、指導者全てが優秀ではなかったり生徒と指導者が合わなかったりといった人間性に関する部分。さらに、全ての親が態度を変えれば子供の倫理観も矯正されると考えている部分。
教師は大量生産された万能な機械ではない。
全ての親がしっかりとした倫理観や世界観を持っているわけではない。
ここからは、僕の主観で。
僕の勤めている塾には、幼稚舎や小学校受験のコースもある。
僕が小中と地元の公立校だったせいかもしれないが、その子供たちを見ていると、そこに迎えに来る親たちを見ていると、違うんじゃないかと、理論ではなく感情で思う。
確かに、先行投資をして小学校からしっかりした私立に入学させれば、それなりに将来の人間像の安定は約束されるのかもしれない。いわゆる不良になったりとか親の言うことを聞かないようになったりしないという意味で。公立中学校が荒れているという話はどこでも絶えない。
(僕はいわゆる不良だとか親の言うことを聞かない状態に対して否定的な考えはあまり持たないけれど。だって、自分の子供なのだから。100%の反映ではないにしろ、子供は親を映し出す鏡だと思う。)
そして学力に関しても大学進学には問題なく教育してくれるだろう。
しかしだからといって、人間性の豊かさが保障されるわけではない。
将来の可能性をむしろ狭めているかもしれない。
今日もある親が、「命よりも息子が大事」という雰囲気をさせながら、塾の時間が終わった5歳くらいの子供に飲み物をあげていた。おそらく、一人っ子だろう。
彼女は幸せそうだった。事実、幸せなのかもしれない。
でも僕は、過保護とは意味合いが違うけれど、それを越えている過保護を目の当たりにした気がした。
それにしても子供って、何故親の過剰な期待に悲鳴を上げないのだろう。
この歳になって冷静に見てみると実に不思議だ。
中央線に乗っていると、ランドセルを背負った小学生や、私立に通う中学生をよく見かける。
最近は、その子達のカバンに必要以上の負担がかかっているような気がしてしょうがない。
でも、彼らは微塵も感じさせない。
子供って、強いな。
最後に、もう一つ。
東京の公立中学校というのは、高校側から(都立私立問わず)全くもって信頼されていない。
高校の先生が、塾に生徒の様子を聞きに来る。
入試に、塾からの情報が加味される。
さらに将来的には塾の模試が内申並みに重視されそうな世界だ。
これって、なんだろう。異常ではなかろうか。
何かが違う。しかし当然の帰結でもある。
問題は、実に複雑に入り組んで奥深い。
今日は長くなった。ご精読ありがとうございました。
コメント
今回の話、面白かったよ。
sawamoshiが親に焦点を当ててるからちょっと
子(とうちら)の方に焦点を当ててみたいんだけど、
「成績優秀なコ」というのは、与えられたモノを疑問も持たずにこなしていく能力(性質??)を持った人が大半だよね。
だから大学に来ると、本来成績優秀だったはずなのに、単位を確保するだけで「学び」に大学の本質をおかない人がこんなにもたくさんいるんだよね。つまり、大学では(特に文系では)モノがそこまで与えられない、だから大学が学生にとって「学びの場」なりきれない、なんていう変な状況があるんだよね。
本来の勉強を知るためには学ぶ側のこーいう意識が変わって行く必要がある。社会に出てから少し変わっていく人も多いようだけど、それでは遅くてもったいない。
そういった状況の中で俺らみたいに塾講師や家庭教師が少しでもできることって言ったらさ、やっぱり子供に向かって今の「お勉強」の矛盾も説いてやることじゃないかな?
勉強の目的とか、自分から出てくる問題意識の尊重とかを、少しでも教えてやることじゃないかな?
いち家庭教師としてそんなことを考えている最近でありました。教育に関しては結構興味あるんだー。
そういや小泉さんが教育予算結構削るんだってね。教育から削るなんて…確実に効果のある投資から身を引いてしまうわけだ…日本財政の悪化もここまでかと思うと悲しい。
うう眠…
投稿者: hiromi | December 8, 2004 01:38 AM
>ひろみ
おお。自分では気づかなかったが親の視点になっていたか。確かに、成績優秀な子というのは大した疑問も無く成長していく場合が多いよね。与えられたものは大抵こなせるんだ。映画『おもいでぽろぽろ』(だっけ?)のせりふに「分数の割り算で、分母分子をひっくり返すのがどうしても納得できなくて、算数はまったくできなかった」という趣旨のせりふが出てくる。これに対して明確に答えられる人は少ないよね。でも疑問にすら上らない。
ちょっと思ったんだけど、僕の大嫌いな「頭だけならかしてもいいよ」という人間は、こういう種類の人なのかもしれない。所与のことならなんでも出来る。でも、自分であくせく動こうとはしない。うちの大学に顕著な特徴ですなぁ。東大にもこういう傾向があるらしいけど。
投稿者: さわもち | December 8, 2004 11:58 PM
初コメントです。さわもちの手紙は面白いので、いつも欠かさず読んでいます。
なんでコメントしようかと思ったかというと、
>なんていうか、これは教育以前の興味の問題だと思う。
っていう一言が、俺が今日思った事と全く同じだったから。俺もPISAの結果を今日見て、なんか複雑な気分になったよ。実際新井も天動説を大学生になるまで信じてた訳だけど、アイツが学業を疎かにしてきた訳ではないのは、分かってるべ。本当に好奇心に任せて行動してるかって事に尽きると思うよ。俺がどっかで読んだ文章で、「子供の好奇心を親が摘んではいけない」ってのを読んだ事があるよ。「この花はなんていう花か」って子供に聞かれたら、一緒に図書館に行って辞典を見るくらいの勢いがなきゃいけないって。
長くなってすいませんでした、これからも期待しています。
投稿者: さささとし | December 9, 2004 12:42 AM
>さささとし
お。コメント&購読ありがとう。一緒に調べる・・・か。そうだね。そこまで自分の子供に対して本気になれたら素敵ですな。ただ教えてしまうのは簡単なことだ。知識ではあるかもしれない。でも、興味ではないね。長い目で見たときに続きはしないよね。
あ、コメントはどんどんしてくださいよ。最近コメント少なくて寂しかったのよ。異論反論自分の意見なんでも歓迎ですから。
投稿者: さわもち | December 9, 2004 01:57 AM
塾の、所謂「イイ学校」に入るためだけの勉強やり方に疑問を感じている親は多いと思う。そんな塾の方針は間違っていると思ってる親も多いだろう。ただ、自分の子にはやはり安定した道に進んで欲しいと思ってそういう塾に行かせる親がいるのもわかる。
こんな教育界にアクションを起こせるのは誰か?
親?無理っぽい。(ホントは親に期待)塾?いや、塾はビジネスだしイイ学校にたくさん生徒を送り込むやり方を変えないだろう。
俺は小中学校じゃないかと思う。小中学校で「自分から学ぶ」ことの大切さを教えていかなければいけないと思う。まっ、俺もアクションを起こすのが当面の課題だから偉そうな事はいえないけど・・・。
まだ言いたい事は沢山あるが、コメント欄にこんな長文書いてもね。
とりあえず塾講がんばって。
投稿者: HOTELマーン | December 9, 2004 02:39 PM
なんだろうねぇ。どうしたらいいんだろうねぇ。とにかく、法改正とか、ゆとり教育とか、そんなんで変わるような浅い問題ではないことだけが確か。
アクション起こすのが課題ではそのうち動かないまま終わってしまうぜよ。アクションなんて起こしてから考えればよか。頑張れホテルマン!
投稿者: さわもち | December 9, 2004 09:48 PM