« 教えて!家電は量販店の競合か | メイン | 宗教に関するあるインプリケーション »

マーケティングのお勉強・ロングテール論

新しいPCがキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

で、マーケのお勉強。
先日、eビジネスモデル論という授業で"Google"班になり、Googleのビジネスモデルについてグループワークしてプレゼンをしたのだが、その澤本担当分、Googleの収益構造について。
blogに載せるので発表資料をくださいと言って、今日まで全く開いていませんでしたので、さっさと書いておきます。


世界有数の巨大企業となり、Googleの社員は現在約5000人。
時価総額はIPO (昨年8月19日) から2ヶ月と少しでYahoo!の株価も上回り、時価総額は現在では1200億ドル程度。

そんなGoogleの収益源は、みなさん何かご存知でしょうか?
なんと99%、ほぼすべてが広告収入です。
その広告にはGoogle Adwords, Google Adsenseの2種類があります。
ここでは面倒なので説明は避けますが、簡単に言えば「Googleで検索すると出てくるのがAdwords」、「どこぞのサイトに掲載されているテキスト形式の広告がAdsense」です。
こんな単なる広告なのに、どうやってよい収益を上げているのでしょうか。


ここに持ち出すことの出来る理論の一つが、「ロングテール論」です。
もちろん要因は他にもあると思われますが、今回はロングテール論をご紹介します。


ロングテール論は、パレートの法則 (別に"2:8の法則"などとも呼ばれる) を導入とします。
パレートの法則については、皆さんご存知のものとして詳しい説明を省略しますが、この事例に即して簡単に言ってしまえば「売上のほとんどは少数の商品で稼ぎ、大多数の商品はあまり売上に貢献していない」ということ。
パレートの法則は元々所得格差の研究から来るものですが、その他色々な事例に適用できるといわれています。
 参考:図1
parate.GIF

これは考えると確かに一般の商売に適用できそうな話で、通りすがりの人からの売上よりもお得意さんが多かったり、人気の商品は品目が少ないけどダントツに売れる、といった感じで捉えることが出来るでしょう。
色分け部分を「利益がプラスになる品目とマイナスになる品目」という見方で分けることも出来ます。

さて肝心のロングテール論は、この売上が少ない大多数の品目に関係します。
ある方の言葉を引用すると、

マクロに見たときに、「マスの集積」よりも「ニッチの集積」のほうが市場が大きく、ネット事業ではリアル世界とのコスト構造の違いから、その「ニッチの集積」を効率よく追求可能になった
My Life Between Silicon Valley and Japan

ということです。
 参考:図2
longtail.GIF
もっと乱暴に言ってしまえば、塵も積もれば山となる、といったところでしょうか。
ただここで注意していただきたいのは、これは特にネット世界に特徴的な話であること、決してこの理論が万能であるとか、ニッチの集積を狙うといい、ということではありません。
それは全くもってケースバイケースだと思います。
あくまでも理論の一つとして捉えてください。


さて、話を戻して。
なぜ、Googleはこのロングテール論が適用できるのでしょうか。
Googleの広告は、検索単語に対して表示されます。
支払い側は競争入札方式であるため、自分の広告を露出したい言葉を買い、その言葉が検索されると、広告が表示されます。
ここで注目していただきたいのは、言葉は有界な無限数 (あってますかね?) であるということです。
つまり、限りなく無限に近い言葉一つひとつに値段がつく、文字通り「言葉の市場」が存在するのです。

競争入札だけあって、人気の言葉はすごいことになっています。
(データは日経ビジネス10月31日号より、オーバーチュアの10月15日時点)

一番人気は 「キャッシング
              : 1クリックあたり3517円 (月70335クリック)
これだけで2億円の市場です。

二番人気は 「融資
              : 1クリックあたり2345円 (月47334クリック)
三番以降は「バイク 買取」「自動車保険」「探偵」「浮気調査」「IT 転職」…と続きます。
しかしこれだけかというと、そんなことはありません。
Adwordsの最低落札価格は7円。
それこそ数え切れない数の言葉が存在します。


ここでロジカルな方は気づいたかと思われますが、市場があるだけではだめなのです。
広告をクリックしてくれないとお金になりません。
(クリックしてくれるから市場があるという見方も出来ますが…)
では何故クリックするのでしょうか?

事例を一つ紹介し、そこから検討します。
(この事例は日経ビジネス10月31日号より)
関西にある懐石料理店「萩」はオンラインでのさば寿司販売を始めたものの、思ったように売上が伸びず、困っていたそうです。
そこで導入したのがオーバーチュアの検索連動型広告。
「さば寿司」という言葉を落札したところ、売上がうなぎのぼり。
導入前は10万円程度だったのが、月平均でも100万円以上の売上があるとのことです。

何故でしょうか。
以下、私の分析です。
まず、無料登録.comのキーワードアドバイスツールで月間検索数を見てみます。
すると、以下のようになります (12月8日時点)

 「萩」       17085回
 「懐石料理」   7630回
 「さば寿司」    1131回

これを見ると納得。
非常に分かりやすい数値が出ています。
何故、検索数が 「店の名前 > 懐石料理 > さば寿司」 なのに、さば寿司が有効なのでしょうか。
この場合、「萩」を入札するのは非常に無駄が多いです。
なぜなら検索した人の意図が、地名の「萩」なのか、植物の「萩」なのか、それとも他の「萩」か、自分の店名の「萩」なのか分からないからです。
もし「萩」で検索した人がさば寿司通販のサイトに入ってきても、購入する確率は低いでしょう。
懐石料理でも似たことがいえます。
関東にある店、関西にある店、料理の品目など、何の「懐石料理」を求めているのか全く分かりません。
一方の、「さば寿司」というと。
これは、明確にさば寿司に興味がある人が検索をかけているでしょう。
作り方かもしれませんし、食べたいのかもしれませんし、分かりませんが、とにかくさば寿司についての情報が欲しい人です。
この単語で検索した人々は上記の2単語より、さば寿司を買う確立が格段に高いと考えられます。
コンバージョン率が非常に高いのです。
これが「さば寿司」がよい理由です。


一方のGoogle視点では。
先ほどのように、「ある単語」で検索してきた人が、それにマッチする広告をクリックする可能性は非常に高いです。
興味もない単語を検索するケースって、少ないですよね。
検索後にマッチした広告は、ユーザーの希望にマッチしている可能性が高く、自然、クリックする可能性も高くなる。
このクリック率の高さが、マス広告とは違うGoogleにとっての利点です。
最近ある方が言っていた言葉になるほどと思ったので引用しておくと、

ユーザーの興味にマッチしている広告は、もはや広告でなくコンテンツである。

おっしゃるとおりだと思います。

さてさて、長くなって自分でも疲れてきましたが、まとめに入りましょう。
Googleの収益で重要な要素は、

①ニッチな市場を効率的にカバーできる (追加的コストはほぼゼロ)
②マスでもニッチでもどんな市場でも同様に高いクリック率が期待できる

この2点に立脚していると考えられます。
この二つを組み合わせてロングテール論に当てはめると、「マスよりニッチの集積が…」どころか「マスとニッチ両方の市場」を取っていけることになります。
なんて恐ろしい。
収益構造はAdwordsの仕組みと同じく、非常にシンプルです (説明は冗長ですが…) 。
Adsenseは、これの応用です。
広告の露出場所が、検索結果だけでなくそこらじゅうのサイトになったということです。
内容を勝手にクロールして表示してくれるので、効果も遜色ないレベルで期待できるでしょう。
そんなところで、私の考えたところは多少なりともご理解いただけたでしょうか?


ちなみに、Amazonも同じようなモデルに立脚しています。
分析や説明は面倒なのでしませんが、興味深い内容だけ、示しておきます。

57% of Amazon's book sales are of books not available in stores
anatomy_edit3_copy.jpg
The Long Tail

データの信頼性は多少疑わしい可能性があるっぽいですが、内容としては非常に面白いです。
ちなみにこの研究をしてデータを出したのは、かの「インタンジブルアセット」の作者エリック ブリニョルフソンです。
まだ読み終わってない…。
さらに余談ですが、ロングテール論の定義を引用したblogの作者は「シリコンバレーは私をどう変えたか」という本を書いていらっしゃいまして、興味深く読ませていただいたことが過去にあります。
こんなところでまた発見するとは世の中狭いですね。


以上です。
長々とお付き合いありがとうございました。
ちなみに、プレゼン資料を作るときの調査約一時間&書くのに二時間半かかったので、時給換算でも3500円以上の価値があるはずです。
今日の予定がだいぶ狂ったので、そう願います。

コメントを投稿