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November 21, 2007

素晴らしき利子平価条件の世界

最近の流行は、学校でのレポートをアップすることでしょうか。
いや、でも実際面白いんですよ。

以前、裁定取引の話D-dayの話でも書きましたが、世の中楽して儲けることが出来ないようになっているんですね。
複数の通貨間で裁定機会が存在しないのは、為替レートを引っ張り出していつでも検証できます。
今回は授業での指令通り、利子平価条件でやってみました。

利子平価条件を簡単に説明しますと、今日本で持っているお金をどこで運用しても、リターンには変化がないという理論にございます。
例えば100万円持っていたとして、それをアメリカドルに変えて利子率の高いアメリカで預金します。それを一年間預金して、一年後にまた日本円に戻します。そうして得たリターンと、そんな面倒なことをせずに、日本の銀行で預金して得たリターンが同じになるということですね。もちろん理論のお話なので、取引費用等はゼロです。
必要なのは、時点tでの為替レート、それぞれの国の利子率、将来の為替レートの4つです。
(この中で、将来の為替レートが曲者です。これを為替先物で代用した場合はカバー付き利子平価条件になり、将来の為替レートの予想値で代用した場合はカバーなし利子平価条件になります。)

今回のレポートでは、カバー付き利子平価条件を検証しています。
為替先物レート (フォワードレート) は直先スプレッドから計算しています。
各国の利子率の代理変数として、銀行間取引の利率を利用しています。
結果、サンプル182個の平均で裁定機会が0.07%、分散が0.00003という結果となりまして、ほとんど裁定機会はないという結論です。

欲しい方はこちらをどうぞ。

November 09, 2007

素晴らしきネイピア数の世界

風邪を引きました。
昨日夜遅くまでネイピア数の世界に浸っていたせいです。
自己満足のために、レポートをうpしようと思います。
はっきり言って穴だらけで、論理 (というか証明) がいくらか飛躍している部分や、厳密性にかける部分(実数まで拡張可能なのか、自然数だけなのかetc...) がありますが、4時間弱でゼロから仕上げたレポートですので、ご愛嬌。あと内容も実はこれで10分の1くらいしか説明できていませんが、レポートの様式が4枚~5枚ということでしたので、それ以上書くのは費用対効果の点でよろしくないと思いました。
数学アレルギーのない人であれば読めるはずです。

レポート

最近よく思うのですが、浪人して最もよかったことの一つに、数学アレルギーがなくなったことです。
決して好きではありませんが、やってみると毎回必ず興味を持つ分野です。
勉強するたびにクオンツにはとても入れないなと思うのですが、クオンツに入りたいなと思う今日この頃。机上の空論大好きです。
まぁ文系の学部卒を取っているなんて話聞いたこともありませんけどね。

そして昨日は改めて自分の原点を見た気分でした。
HEPSAという派遣留学生の会で、設立総会をやったのですが。
価値観とは、やはり昔からの経験を通して醸成されているもので、認識してはいても、それがぴたっとはまる瞬間は、やはり嬉しいものです。
がんばろーっと。

November 05, 2007

京都議定書の削減目標は達成可能か

日経新聞の一面に新技術に関する記事が出ていました。
内容は、高炉に新技術を導入すると、CO2排出量が30%削減できるというもの。
高炉といえば、鉄鋼を作る際にとても重要であり経済全体の基幹産業である一方、ガンガン火を焚くのでCO2排出量は大きいでしょう。
さて。この新技術がどれほどのインパクトを持つのかを検証してみました。

設定は以下の通り。
 ・今すぐに法律で「新しく高炉を建設する際には新技術を利用すること」と決められる
 ・減価償却を終えた古い高炉は速やかに新しい高炉へと改築される
 ・高炉が閉鎖になることはなく、経済成長率と同じ速度で高炉が増える

三番目の仮定が重要で、中国など成長著しい国では、一つ一つの排出を削減しても、全体としてはほとんど役にたたないといった場合を考慮に入れることが出来ます。
単純に考えれば、経済が2倍に成長すると (年7%の成長で約10年かかる)、排出量も2倍。
後述しますが、日本のここ16年間の弾力性は約0.25ですので、中国では少なくとも1.3倍と言ったところでしょうか。日本は経済全体に占める3次産業の割合が高いですし。すると30%削減しても100%を超えてしまう、という可能性が出てきます。

結果の例を挙げます。
例えば新技術で30%の削減が可能、経済の年成長率 (正確には排出量の成長率) は8%、減価償却にかかる時間が30年。
すると、25年後の排出量の増加は384% (約4.8倍)となり、全く減る気配がありません。
経済成長とCO2排出量増加の弾力性にも因りますが、弾力性が高いと上記 (弾力性は1) のような結果になり、京都議定書のような「****年の排出量から**%削減」というのは難しいことになります。
先進諸国では経済成長に占める3次産業の貢献度が高いはずなので、弾力性は低くなり、より実現可能性の高い目標である一方、3次産業は本質的に削減が難しいというジレンマを抱えています…。
またある部門での排出量の増減は、経済全体に対するインパクトがどれだけなのかを考慮する必要があります。例え削減に成功しても、他の部門で排出量が増加していれば全体としての減少は見込めません。

どちらにせよ、CO2排出量削減が温暖化防止に必要だとするならば、削減は急務だと言うことですね。特に成長著しい国でなんとか食い止めなくてはいけません。
ちなみに、先ほどテレビでは、2006年度の排出量が発表になり、削減目標となる1990年から6.4%排出量が増加していたという趣旨の内容が報道されていました (参考記事)。一方こちらのデータが正しいとしますと、年成長率が平均で1.3%なので、日本経済は16年間で約23%成長したことになります。つまり日本のここ16年間の経済成長に対する排出量弾力性は約0.25です。ご参考までに。

以下、エクセルの説明です。ご利用したい方はどうぞ。

エクセルファイルはこちら

・青い数字 ... 変更可能な数値。お好みに合わせて設定してください。
・factories ... 現在の工場数。結果には影響を与えませんが、数字を見やすくするためにご利用下さい。
・reduction ... 新技術によるCO2排出削減量
・depreciation ... 減価償却にかかる時間
・growth rate ... 経済成長率。経済成長率を低く見積もると、経済成長に対するCO2排出量増加の弾力性が低い状態と捉えることも出来ます。
・emission increase ... 排出量。
・n of factory increase ... 高炉の数。
・nominal reduction ... 新技術が導入されなかった場合と比較した削減率。当然ながら年を経るごとに数値が上昇し、最大値はreductionで設定した数字になります。