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読書:中央銀行の独立性と金融政策

中央銀行の独立性と金融政策

内容:
中央銀行総裁(日本銀行総裁)による講演録18編。
年代は1998年から2003年なので少し古い。

背景知識:
学部上級程度のマクロ経済学、マクロ金融論。
金融政策論の応用・実際というイメージ。
マクロな経済全体の動きに興味があれば読めるが、いくらか古いのでその点に留意が必要。

感想:
繰り返しの内容が多く、すぐ飽きる。
立場上、きっちりと作ってあるので、広くポイントを抑えてあり、中央銀行の立場を概観するには最適。
「独立性と金融政策」と銘打ってあるが、内容は金融政策中心で、独立性に関しては触り程度。

印象に残った言葉:

God grant me the serenity to accept the things I cannot change, the courage to change the things I can; and the wisdom to know the difference.
神よ、変えることのできるものについてはそれを変えるだけの勇気を、変えることのできないものについてはそれを受け入れるだけの冷静さを、そしてこの両者を識別することのできる知恵を与え給え

神学者Reinhold Niebuhrの言葉。
速水優氏の座右の銘だそうで。
今の自分にぴったりでした。

中身から: (※は個人的なメモ)
□インフレの解釈
何度も強調されているが、中央銀行はインフレ容認もデフレ容認もしない。ただ、インフレにもデフレにも種類があり、その原因をしっかりと把握しないと金融政策の舵取りを間違うことになる、という話。
個人的には、インフレとデフレをちゃんとした議論も無く一方的に悪者扱いしているのはマスコミだと考えていて、この辺りには同感。私は「民衆の敵、経済の味方」がインフレだと考えていて、多少のインフレは容認派です。
※物価指数のバイアス
構造変化などによる物価の低下(コストの低下)を統計が取り込めているのか、またどのように現れているのか、というときに持ち出される。特に構造変化(構造調整)が大きいときには注意が必要。
※名目賃金の下方硬直性
名目賃金が低下しにくいことを指して言う。ただし、雇用形態の多様化によってマクロで名目賃金が低下している可能性は十分にあることが本の中では指摘されている。

□銀行セクターの機能不全
私の問題意識とも合うのだが、銀行スプレッド吸収しすぎ。
正確には、信用創造機能(要するに銀行による貸出)が低下しすぎ。
この本のP223に紹介されていたデータ。(1996~2001年、変化率年平均)
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マネタリーベースの伸び 7.3%
マネーサプライの伸び 3.3%

銀行貸出 - 1.4%
銀行国債保有 15.7%
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「マネタリーベースの伸び << マネーサプライの伸び」が意味するところは、端的に言って、銀行部門に供給される資金が増えているのに、銀行部門から先へ供給されている資金が増えていないということ。要するに、銀行が吸収している。
「銀行貸出は減、国債保有額は増」が意味するところは、銀行のポートフォリオが変化して、お金を貸さなくなっているということ。悪意を持って見れば、税金を大量に食って生きているんですこの人たち。善意を持って見れば、デフォルト(借金を返さない)が多すぎてお金を貸していられないのです。
ここ数年、銀行は採用を拡大だの何だのしていますが、背景にはこんな資金の流れがあったりするんです。
ただ失われた10年のせいで人材が不足しているのも事実のようだし、当時は実際に不良債権処理で手一杯で、かつ信用リスクに見合った金利で貸出ができないのも事実らしいのですが。

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